『無題』の画像

photo: SAIKI Taku

無題

作家名(日)アニッシュ・カプーア
作家名(英)Anish KAPOOR
制作年2001
素材・技法アラバスター
サイズH120 × W135 × D60cm
著作権表示© Anish KAPOOR
収蔵年2003(作品購入年月日:2003/03/31)
受入方法購入
解説1954年ムンバイ(インド)生まれ。

1973年に渡英し、ホーンジー・カレッジ・オブ・アートおよびチェルシー・スクール・オブ・アート・アンド・デザインにて芸術を学んだカプーアは、1970年代後半より作品を発表し始める。初期には、表面を顔料で覆う立体作品を多く制作するが、それらは次第に内部を露わにするようになる。岩盤のような床に切り込みや穴を開け、その内部を顔料で覆うことにより、洞窟の入口や大地の亀裂を思わせる作品へと繋がっていく。また、ステンレス・スチール、漆といった素材、蒸気そのものを作品に取り入れるなど、多様な表現を展開してきた。これらの作品は、常に我々の視覚や日常的な認識の再考を促す。次元を越えて生み出される未知なる世界像には、人間存在、生命へのカプーア独自のまなざしが映し出されている。

カプーアは、様々な素材や方法によって、我々の視覚、認識の再考を促すような作品を展開してきた。《L'Origine du monde》は、展示室の一面を構成する傾斜したコンクリートの壁面に、巨大な暗い楕円形の色面が広がる作品。平らな面にも盛り上がりにも窪みにも見える黒い色面は、実際は穿たれた穴を青い顔料で塗りつぶすことで構成されており、シンプルな形と素材を用いて我々の知覚を揺さぶる。タイトルは「世界の起源」という意味で、19世紀フランスの画家ギュスターヴ・クールベの同名の作品を参照している。アラバスターというきわめて透明度の高い大理石によって作られた《無題》は、周囲からの光と作品内部とが一体となる特徴を持つ。《白い闇 IX》では、木材生地とファイバーグラスを素材に、滑らかに曲面成形された球体と開口部の鋭いエッジによって、緊張度の高いフォルムが作り上げられている。表面は乱反射率の高いマットホワイトが着彩されているため、周囲からの光が内部に留まりながら、外側へも柔らかく光が反射している。立方体のアクリルの中に空気が注入された《物体としての空間》は、見る角度により様相を変え、見る者に独特の浮遊感を与える。

PageTop