横矧板鋲留短甲

資料名(ヨミ)ヨコハギイタビョウドメタンコウ
遺跡東間部多1号墳
時代・時期古墳時代中期後半
解説 古墳時代中期後半(約1550年前)の鉄製の鎧(よろい)です。高さ約45cm、上部幅約44cm、裾の長径約36cm、裾の短径約30cm、重さは約4.4kgです。
 短甲(たんこう)は胴部を守る防具のことで、三角形や四角形に切り出した数十枚の鉄板を、革紐や鋲(びょう)でつなぎ合わせて組み上げられています。おもに、古墳時代前期から中期の古墳から副葬品として出土し、実際、戦いのときは、冑(かぶと)や首を守る頸甲(あかべよろい)、肩を守る肩甲、手を守る籠手(こて)、臀部を守る草摺(くさずり)等とセットで使用されていたと思われます。
 この短甲は、横長の鉄板を組み合わせ、鋲でつなぎ合わされています。右側面には蝶番(ちょうつがい)がついており、甲を着脱するために右前胴の部分が開く構造になっています。無駄のない鉄板の配置、等間隔に打たれた鋲などから技術力の高さがうかがえ、専門の工人によって作られたと考えられます。
 短甲が出土した東間部多(とうかんべた)1号墳は、古墳時代中期後半の直径20.6mの円墳です。埋葬施設が南北に3つ並んで見つかり、短甲は一番南の埋葬施設から発見されました。同じ埋葬施設には他に刀・刀子(とうす)・鉄鏃が副葬されており、北と中央の埋葬施設からも刀剣や鉄鏃などが出土しました。小さな円墳から数多くの武器が出土していることから、被葬者たちは生前、軍事を担当する立場にあったのかもしれません。

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