© ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 G1124

町外れ

作家ルオー,ジョルジュ Georges-Henri ROUAULT
制作年1909年
材質、技法(形状)テンペラ、油彩・布
作品寸 (縦、cm)44
作品寸法 (横、cm)61
作品識別番号Ⅲ-224
公開解説〔國富奎三コレクション室 常設展示室〕 
 苦悩や孤独を表した画家ルオーは、この作品でもすべてを暗がりの中に描いています。太い筆致は、この頃のルオーのフォーヴィスム的傾向の一面といえます。画面の左右は立ち並ぶ建物に占められ、その間(あいだ)に奥へとつながる細い一本の道があり、二人の人物が立っています。
 ルオーは世俗世界と精神世界を、時に感情的に、時に象徴的に、そして宗教的に描きました。この《町外れ》は画家の初期の風景表現と考えられ、世俗的な光景となっています。しかし後(のち)に制作する作品では、類似した構図の中で奥へと道を進もうとするキリストの姿が描かれるようになります。この作品の中央の人物においてもすでにキリストや聖母子の姿が重ねられているのかもしれません。
 かつてこの作品はパリでルオーと交流のあった画商、福島(ふくしま)繁(しげ)太郎(たろう)のコレクションでしたが、帰国時に日本には持ち帰られませんでした。遍歴の後に日本に辿り着いた作品としても意義深い一作です。

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