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破舎仏涅槃図 I

作家名中村一美 NAKAMURA Kazumi
制作年1993-95年
技法、素材油彩、画布
寸法190.5×398.7
分野絵画(日本)
所蔵作品登録番号JO200300006000
解説中村は1992年から翌年にかけて、水平方向に展開される「開かれたC型」構造を展開させた「Reclining Buddha」のシリーズを、94年から翌年にかけては斜め方向に建物の軒が降りてくるような「連差―破房」のシリーズを制作している。この作品はタイトルから見て、これらのシリーズを統合させたものと考えてよいだろう。「連差」とは「示差的イメージ」という有名な文章で中村が主張していた、「差」(描かれたイメージが描かれたイメージ以上のもの、あるいは以外のものを示す差、あるいはそのずれの部分のことで、これこそが「絵画」に意味を与えると中村が考える)の「連続」という意味であろう。「破房」とは聞きなれない言葉だが、「清園寺縁起」に登場する小さな壊れたような建物のことである。当初は英語のタイトルしかなかったが、後に作家によって《破舎仏涅槃図 I》の日本語名が付けられた。斜めにたわんで描かれているY型を断片化した軒の曲線、膨らんだように見えるC型を複数点在させて画面を構成して、様々な差異を作り出しつつ、流動的で多中心的な画面を作り出している。強い論理性と自由な筆触との共存とが、この作品の魅力である。

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