ツタンカーメンのえんどう豆

作家名加藤昭男 KATO Akio
制作年1996年
技法、素材ブロンズ
寸法145.0×85.0×124.0
分野彫刻・立体(日本)
所蔵作品登録番号JS199700005000
解説作家は1995年に拡張型心筋症のために倒れ、救急車で運ばれて入院そして療養生活を送るという生命の危機を体験した。この体験はこれまで主題としてきた人間と自然、生命というものを見つめ直す機会ともなった。偶然のことながら作家の家では、エジプトのツタンカーメンの副葬品の中から発見され、永い眠りの年月を経て発芽したエンドウ豆の子孫の種を譲り受けていた。そこに生命の復活を見、自分と重ね合わせたことは不思議ではない。退院後しばらく時間を経てから制作したこの作品では、生命の輪廻や循環という視点を持ちながら、蝶とえんどうのつるや葉という一見彫刻には不向きな題材に取り組んで、そのテーマとともに造形的にも新しい試みをしている。蝶の羽とえんどう豆の葉の面的な要素、ゼンマイ状の口とエンドウ豆の巻いている蔓の線的な要素という、線と面の組み合わせに造形的な思考がなされている。

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