テンジクアジ(雌52センチ、2021年6月)

テンジクアジ ( Coachwhip trevally )

名称(ヨミ)てんじくあじ
中分類スズキ目
小分類アジ科
形態全長50センチを超える、中型のヒラアジ。(ただし、本項にある画像の個体が釣獲されるまでは、最大46センチとされていた) 全体が銀白色で、生息域が重なっているオニヒラアジに似ているが、第二背びれ、もしくは第二背びれと尻びれの両方が細長く伸びる。第二背びれの根元に白黒の班があるのが特徴だが、近縁種イトヒラアジのほうが鮮明とされる。同じ全長の個体ではロウニンアジよりも体高が低く、体重も軽い。死後は体色が薄緑がかる。水上から見ると背が青緑に見え、オニヒラアジや近縁種イトヒラアジとの見分けは困難。非常によく似たイトヒラアジとの差は第二背びれの軟条数で、本種は20~22本、イトヒラアジは17~19本とされ、両種とも死後も第二背びれの根元にある白黒班が残りやすく、画像があれば比較的確認しやすい。

※ヒラアジとは、アジ科のなかでも肉食で、顔がマダイに似たアジの俗称。マアジやメアジ、ムロアジなどと区別される。顔がマダイに似ないカイワリ、シマアジなどを含め扁平で中大型のアジ類を島口でガラ、沖縄ではガーラと呼ばれる。

※魚類の体長には、全長と叉(さ)長があり、全長は頭の先から尾の先、叉長は頭の先から背骨の延長の尾びれの後端である。そのため、尾びれ中央部の切れ込みが大きい魚種ほど全長と叉長の差が大きい。
概要【分布】
太平洋西部、オセアニア北部、パキスタン沿岸周辺を除くインド洋の温帯~熱帯海域に広く分布する。国内では和歌山県まで記録があるが、主に琉球列島以南とされる。徳之島では本種やイトヒラアジの記録がほとんどないが、河口や内湾、リーフ内側のイノー、その周辺のサンゴ礁を回遊すると考えられる。

【生態】
食性、繁殖など生活史については、ほとんど分かっていない。浅間干潟で釣獲された個体の胃には、甲幅5ミリ以下の幼ガニがほとんどで、ほか甲殻類のアナジャコや、数センチの小さな魚が半消化で残っていた。釣獲後の体表は、粘液の分泌が多かったという。オニヒラアジ同様、比較的濁った水中でも活動できるようだ。


参考:延縄や釣りで漁獲されるが、数は非常に少ない。市場価値はほとんど認められていないから安値だが、味はとても良くシマアジに近い風味で、刺身、あら汁など美味。

【島内の目撃情報】
大潮満潮時、浅間のイノーで釣獲されたことから、松原~浅間にかけてのイノーや、松原周辺の沿岸海域を回遊していると思われる。しかしながら、水上や水中で見かけても、オニヒラアジやイトヒラアジと見分けることは困難。
観察できる場所今のところ不明

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