ゴマモンガラの歯

ゴマモンガラ ( Titan triggerfish, Giant triggerfish, Moustache triggerfish )

名称(ヨミ)ごまもんがら
中分類フグ目
小分類モンガラカワハギ科
形態全長70センチを超える、大型のモンガラカワハギ類。楕円形に近いシルエットで、全体に黒っぽいが、顔の一部が黄色く、背びれ、尻びれ、尾びれに黄色や薄赤の帯がある。尾の付け根は白っぽく、小さな棘が並ぶ。なお、体色には個体差も見られ、さらに情況によって変化すると思われる。体の半分近くが頭で、強力なあごと歯を持っている。名は、うろこの模様がゴマに似ていることに由来するとされる。

※カワハギ科は鱗がなくざらざらした皮膚に覆われるが、モンガラカワハギ科はうろこがある。また、うろこは皮と一体化し、厚い外皮となっている。なお、本種は最大で全長75センチになるが、モンガラカワハギ科で最大の種はメキシコからチリに至る東太平洋沿岸に生息するStone triggerfish/Pseudobalistes naufragiumで、全長1メートルに達する。
概要★注意★
2017年の夏ごろから、ヨナマビーチに出現するようになった。特に夏(繁殖期)は、ダイバーがサメより恐れる凶暴性があり、強力な歯で噛みつかれると大怪我に至る可能性がある。他の地域では、ダイビング中に餌付けして指ごと食われたり、耳を食いちぎられるなど事故が起こっている。また、死なないうちに調理しようとして、指先を食いちぎられたという。

【分布】
西太平洋からインド洋の亜熱帯~熱帯の海に生息する。国内では相模湾以南で見られ、徳之島でもサンゴ礁の周辺で見られる。

【生態】
サンゴ礁周辺の水深50メートルより浅い、岩礁が点在する砂地に生息する。主に6~8月が繁殖期で、縄張りに入ってくる大型の生物をすべて攻撃する習性がある。肉食性の強い雑食性で、サンゴ、ウニ、エビ・カニなどの甲殻類や、ゴカイなどを食べる。尾びれでなく、主に背びれと尻びれを用いて遊泳するため、それらを動かす特徴的な血合いが、背骨に沿って見られるため、一見すると赤身に見えるほど身が赤い。ちなみに、一般的に血合いと呼ばれる部位は血合肉のことであり、ふだん泳ぐ際に使う筋肉である。血合い以外の筋肉は、非常時にダッシュするときなどに使われる。

【島内の目撃情報】
通常、リーフの外側(外洋)で見られる。ヨナマビーチでは、しばしば30~60センチほどの個体が見られる。

※食用に際しては、三枚に卸し中骨を除いた上身は体重の2割ほどで、通常の魚の2/3しかない。むしろ、ほほ肉が美味とされることもある。うろこと癒合した皮は、包丁で比較的簡単に肉からはがすことができるが、そもそも皮が硬過ぎ、包丁のみで切り口を作ることが難しいため、強力な料理用バサミなどを併用しないと大変捌きづらい。また、うろこと癒合した皮の下にはさらに薄皮があり、刺身にするときは、それを除く必要がある。

【シマグチについて】
徳之島ではジーランと呼ばれるが、語源は沖縄島周辺のジキランカーハジャーのようで、イトマンと呼ばれていた漁師から伝わった可能性がある。先島群島ではジキラ、ジキラナーと呼ばれている。

先島群島のジキラは、旧い重さの単位で「十斤」に由来するとする説がある。琉球王国時代の日本、中国やその貿易国などの斤は、それぞれ時代とともに変化し差異があるものの、おおむね500~600グラムを表している。琉球列島近海のゴマモンガラは全長60センチ・重さ5キロ前後になり、ほぼ十斤であることから、語源の可能性は十分ある。 ただ、語感にはいささか違和があり、ジキナーとならずジキラやジキラナーとなっているのには、より身近に十斤に例えられる物品や産品、生物などの名称があって、それが介在していたとも考えられる。

また、モンガラカワハギ類全体を指す、「ヤチャ」と呼ばれることもある。

 
観察できる場所危険が伴うため、観察は推奨しない

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