アカテノコギリガザミ

アカテノコギリガザミ ( Orange Mud crab )

名称(ヨミ)アカテノコギリガザミ
中分類エビ目(エビ、カニ、ヤドカリなど)
小分類ワタリガニ科
形態形態
大きいもので甲幅15センチ、1キログラムを超える大型種。国内産のノコギリガザミ3種のうちでは最も小柄。甲羅はガザミ、イシガニなどワタリガニ科に共通する、イチョウの葉に似た形をしている。雄はのはさみは、体とは不釣合いなほど太く大きい。雌雄とも左右どちらかのはさみが大きく、それで貝を割り、小さいはさみで餌を口へ運ぶとされる。甲羅、歩脚を含め、背側は黒に近い緑褐色で、腹側はオレンジや赤みがかっている。目の間にある4つの突起が、他のノコギリガザミのように尖っておらず、半円か丸みのある三角。ワタリガニの類に共通する、もっとも後の足(第5脚)がひれのような形状になっている。

※ノコギリガザミのはさみは非常に強力で、挟まれると骨まで砕かれる可能性があり、観察や取り扱いには注意が必要。
概要【分布】
西太平洋からインド洋のパキスタンにかけ、亜熱帯、熱帯の沿岸に分布。川の流れ込む穏やかな湾や河口域、マングローブなどに生息する。徳之島では、天城町前野、岡前、浅間にかけてのイノーで見られる。

【生態】
マングローブなど、河川の影響を受ける砂泥底の潮干帯=泥の多い干潟に生息する。雑食だが肉食性が強く、貝を割って食べたり、素早い動きで魚やエビ、カニなども捕食する。また、デトリタス(落ち葉、枯葉など)や岩についたノリ類なども食べる。引き潮のときは巣穴に入り、満ち潮である程度の水位になると水中に出て活動する。警戒心が強く、目が非常に良いため、水中から人の姿を見つけると遠ざかってしまう。水中で危険が迫ると、ひれのような足(第5脚)を和船の櫓(ろ)を漕ぐように動かし、素早く移動する。梅雨から晩秋にかけて繁殖し、比較的繁殖期は長い。雄が大きな穴を掘り、雌を抱えたままその中に入って、脱皮の時期を迎えるまで待つ。他のワタリガニ科の種に見られるように、交尾は雌の脱皮直後に行われる。

【島内の目撃情報】
前野、岡前、浅間にかけてのイノーで、近隣住民が針金を巣穴に差し入れて捕獲している姿が見られる。あるいは満潮時に、トリトリデッキ周辺を歩き回る姿が見られる。

※泥を取り除く処理に手間がかかるが、味噌汁にすると美味。島内産は塩分が濃いことと、もともと濃い風味のため、出汁が出ても身の味はさほど薄まらない。アミメノコギリガザミやトゲノコギリガザミと比較すると国内での漁獲は少なく、味はあっさりしているという。
観察できる場所天城町総合運動公園周辺のイノー(中・大潮満潮時)

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