イボイモリ

アマミイボイモリ ( Anderson's crocodile newt, Okinawa spiny newt )

名称(ヨミ)あまみ
中分類有尾目(イモリ)
小分類イモリ科
形態10~15センチくらい。他の産地に比べ、徳之島産は小柄。頭や体は横に平たく、尾は縦に平たい。黒い体はごつごつし、体側には肋骨が変化した特徴的な突起が並んでいる。特に徳之島産は体形が平たく、突起や足先の柿色が鮮やかな個体が多い。イモリらしい粘液質の体表でなく、乾いて比較的硬めである。雌雄の差は、雌がやや大きい程度で、外見では判別はできない。識者は通常、総排泄腔(そうはいせつこう)の内側で見分ける。
概要※令和4年(2022年)11月、日本爬虫類両生類学会において、奄美群島の個体は、沖縄本島周辺の個体群と異なる種として独立し、アマミイボイモリになった。沖縄本島周辺の個体群は、オキナワイボイモリ。

鹿児島県、沖縄県の天然記念物。環境省の定める「日本の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」により、希少野生動植物種に指定されているため、捕獲、販売、譲渡などが原則禁止されている。実施する場合は、環境大臣の許可が必要となる。

【分布】
日本の南西諸島固有種。奄美大島、請島、徳之島に生息。徳之島では、森林など広葉樹の落ち葉が多く、流れのない止水の水辺で繁殖し、その周辺で生活している。

【生態】
夜行性だが、極々希に昼間に歩いていることがある。成体の動きはとても緩慢で、いかなる緊急事態にあっても素早く動くことはない。ミミズやコウガイビル、カタツムリ、ナメクジ、そのほか甲虫やヤスデなど素早くない動物を食べる。最も寒い1月から2月にかけて繁殖行動を起こすことが多く、水流の無い水辺で産卵する。幼生にはえらがあり、水中でミジンコやボウフラ、オタマジャクシなどを食べて成長、大きくなるとえらが小さくなり上陸する。幼生は3月から7月にかけて見られ、成体とは異なり水中で見失うほど瞬時に移動できる。おそらく、天敵のリュウキュウギンヤンマのヤゴなどから逃れるためと思われる。上陸してからの成長は遅く、最大まで成長するには10年以上かかり、成体は繁殖期以外は見かけないため、月に何回かの採餌の時以外は、休眠していると考えられる。なお、オキナワイボイモリの産卵は、やや流れのある河川域で行われるという。

【島内の目撃情報】
島内各所、森林など広葉樹の落ち葉が多く、枯れ難い水溜りや池の周辺で見られ、夜間には道路を歩いていたり、昼間は落ち葉の下などで見られる。人家の周りでは、地面に置かれたトタン板などの下にいる場合もあるが、ハブやヒメハブも同様の場所にいる可能性が高いので注意が必要。徳之島の林道は止水の水辺から遠いため、出てくることは少ない。雨が多い年は、森林に近い未舗装道路のわだちにできた水溜りでも繁殖する。

近年、戸森の線刻画の南にある小さな溜め池周辺で繁殖、産卵が確認されており、1~2月ごろ卵が見られる。稀に曇った昼間でも、産卵に来た雌が草むらに居残っている場合がある。ただし、水溜りからやや離れた場所にも産卵しているため、踏みつけたりしないよう観察には注意が必要。

【シマグチ】
阿布木名(あぶきな)/現在の天城集落では、イモリ全般のことを「マオウ」と呼んでいた。
観察できる場所広葉樹林に近く、小さなオタマジャクシが多い水溜り、池

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