ウンブキアナゴの頭部(試験採集時に撮影)

ウンブキアナゴ ( Fryer's false moray )

名称(ヨミ)ウンブキアナゴ
中分類ウナギ目
小分類イワアナゴ科
形態全長50センチあまりになるイワアナゴの一種。一見こげ茶色だが、光を当てると赤茶に見えることもある。イワアナゴ科はウナギやアナゴよりウツボに近く、えらの後ろに胸びれが無い。小さい幼生のうちは、透明な木の葉のような形態で、いわゆるシラスウナギに似たレプトケファルスであると考えられる。
概要2014年2月に日本初確認として記載された、希種のイワアナゴ。海と通じている洞窟=海底洞窟のなかでも、真水が流れ込んだ汽水域をアンキアライン環境というが、ウンブキアナゴはその環境に適応した魚類。天城町浅間の住民が見つけ、魚類の研究者である神奈川県立生命の星・地球博物館所属の瀬能宏氏へサンプルを捕獲し提出、種の同定を依頼して判明した。ウンブキと呼ばれる洞窟で採取されたため、その名を冠し標準和名は「ウンブキアナゴ」と名付けられた。

【分布】
ウンブキアナゴは、アンキアライン環境のある洞窟自体が希少なため、世界的に発見例が少ない。セイシェル、ニューカレドニア、フィジー、ハワイに続き、徳之島が5ヶ所目の発見となる。(ただし、学名Xenoconger fryeriとされる種と本種とは、すでに骨格の差異が見つかっていることと、それぞれの発見地が離れていることから、それぞれが別種もしくは別亜種と考えられる。)

【生態】
夜行性。詳しい生態はわかっていないが、調査捕獲の際、魚の切り身に寄る習性が見られ、動物性の餌を好むと思われる。ウンブキでは水中に没した洞窟内には餌がほとんど存在しないため、夜間に外界と通じる水面近くで落ちてくる虫などを待ち受けていると思われる。目ははっきり見えておらず、明るさを感じる程度で、懐中電灯などの光を嫌がって逃げる。静止し、鼻をわずかに水面から出すような振る舞いも観察され、餌の落下によって出来る波紋を察知している可能性がある。

●想定される生活史
秋、成長した個体が居なくなることから、産卵場所へ移動していると思われる。また、二ホンウナギ、オオウナギ、マアナゴが南硫黄島の南方海域で産卵していることを参考に考察した。秋になり、性成熟した雌雄の成魚は、ウンブキの海側へ移動し、外洋の濃い塩分濃度に順応。その後、海底洞窟を出て南下、黒潮反流に乗ってさらに南下し、フィリピン海南部の海嶺等で、かつ西方へ流れる北赤道海流を利用できる場所に至って産卵。孵化した稚魚はプレ・レプトケファルス→レプロケファルスへと成長しながら深海より上昇し、北太平洋海流に乗り西進。フィリピンおよび台湾東方で北赤道海流から黒潮に乗り換え北上し、琉球列島へ至る。アンキアライン洞窟に達したレプトケファルスは数年を経て成長し、50センチあまりに達た成魚は産卵のため南方の海を目指す。

【島内の目撃情報】
ウンブキの水中で夜間、特に大潮から中潮まわりで午後8時~12時の間の満潮時に、浅瀬で複数頭見られる。じっくり観察する場合は、備え付けの大型ライトでなく、懐中電灯に赤い下敷きやセロハンを貼り、赤い光で照らすと逃げにくい。なお、天城町の観光資源となっているため、無断捕獲は禁止されている。
観察できる場所夜のウンブキ
生息地マップhttps://goo.gl/maps/gDkRSNAamGH2
関連URLhttp://nh.kanagawa-museum.jp/research/bulletin/abstract/43/bull43-1.html

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