水中鍾乳洞の入口

浅間湾屋洞穴 ウンブキ

遺産名(ヨミ)あさまわんやどうけつ うんぶき
資産概要 シマグチでウンブキと呼ばれる洞穴。サトウキビ畑の中に大きな口を開けて存在する洞穴で、約400メートル以西で海とつながる水中鍾乳洞/海底洞窟である。サンゴ礁が隆起して雨水などにより鍾乳洞が形成され、さらに沈下もしくは海面上昇により水中に没した洞穴と考えられる。鍾乳洞を形成した淡水の水脈と、海水が混じりあう地下の汽水域=アンキアライン環境がある。夜になるとウンブキアナゴ、リュウグウモエビの一種やカワアナゴの一種など希少な水生生物が見られる。豪雨等で湾屋川が濁ったとき、洞穴内の水が濁ることがある。時折、外洋からミナミクロダイが迷い込むこともある。
 道路を挟んで東側にある洞窟は、シマグチでコーフキと呼ばれていたが、今ではほとんど忘れられている。シマグチでウンは海、コーは川、フキは崖もしくは水や潮が吹いているところの意味である。ウンブキとコーフキは、その中ほどに盛土して道路工事が行われる以前は、一体の洞窟(ドリーネ)だった。ウンブキの北側にある真水の流れ込みは、コーフキからの地下水が通じており、この洞穴を形成するに至った水脈のひとつと考えられる。
 ほか、地面に多数開いた穴はオカガニによるもので、夜には枯葉などを食べる姿が見られる。近年、アカヒゲ(留鳥)やリュウキュウサンコウチョウ(夏鳥)の繁殖地となっている。6~7月にかけてサクラランが開花し、見ごろとなる。
 子供のころ、ウンブキで遊んだという地元男性の話によると、60年くらい前までは熱帯魚やボラの回遊が見られ、それらを釣って遊んだり、磯で釣ってきた熱帯魚をウンブキへ放流したりしたという。
 2019年、水中探検家・広部俊明氏により、洞窟の奥行きが西方へ直線距離にして700メートルあることが確認され、国内最大の海底鍾乳洞となった。さらに、同氏が洞内から持ち帰った土器には、下原(したばる)洞穴の7,000年以前の地層から出土した土器と共通する文様が施されていたことで、注目を集めている。

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