めがね岩と呼ばれる奇岩

インノジョーフタ

資産概要琉球石灰岩の岩塊が浸食されアーチ橋状となったものである。
平土野港南側の「犬の蓋門=インノジョーフタ」という海岸がある。「徳之島事情」は兼久村西岸に、方五十間(一〇〇m)くらい、奇石溶岩ありて屏壁(へいえき=びょうぶの壁)をなし、海面を抜くこと十五間(三〇m)その中央に屹立(きつりつ=直立)したる二つの岸ありて、その上に一面の盤石を覆い、あたかも人工をもって作りたるが如く覆蓋の形をなし、両岸またがるをもって、地元の人これを称して「上蓋=ジョーフタ」と名づけるここは西海に辺し、はるかに沖縄県鳥島を眺め、実に風景明美なり。」と書いてある。今井博士は「犬の門蓋一帯の陸上の岩面は変化に富み洞窟はみごとで景観は良好である。岩礁や海岸には洞窟やビーチロックがあり、断崖も多く付近一帯は公園施設として展望台もある。ここの高台からの景色はみごとで景観もよく、しかも海中で大型魚類が自然に遊泳する状況が観察され、注目に値する地形で、将来益々観光面に利用されると思われるが、自然保護対策を講じて荒廃を防ぐことが必要である。」としている。「インノジョーフタ」という名称であるが、最近「犬の蓋門」と漢字で書いて仮名をつけてある文献もあるが「犬」の字を当てているのは、むかし飢餓のとき野犬が横行して食料をあさり、住民の生活に被害を与えたので全住民が野犬狩りをして、捕えた犬をここへ連れてきて海へ放りこんで殺したという伝説が一部にあるので、「犬」という字を当てたという話であるが、これはその地名が古くから「ぬん」と呼ばれ、漢字では「院」という字が用いられているので、「院」とした方が正しいようである。また「蓋門」という字も、しいて漢字にするならば、「徳之島事情」にあるように「上蓋」とすべきであろう「蓋」という字は漢音ではカイ・ガイ、和訓ではフタであるし、藩政時代から黒砂糖樽の「ふた」として使われてきた字でもあるし、今なお「ふた」という読み方が使われているから、しいて漢字で書くなら「院の上蓋」とした方がよいように思われる。しかし、このようなむづかしい漢字を当てるよりも「インノジョーフタ」と、むかしから地元や徳之島全島の人たちに親しまれている発音を、そのまま仮名書にした方がよい。またすでに観光者たちにも「インノジョーフタ」として通っているから、仮名書がよいと思われる。

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